
京都大学医学部附属病院(病院長 宮本 享)
プロジェクト本文
京大病院だからこそ「救える命」がある。今のコロナ禍でも、高度先端医療と救急医療の両立のために、迅速に成すべき事を成す
京都大学医学部附属病院 病院長 宮本 享(みやもと・すすむ)です。新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げます。そして罹患された皆様とご家族および関係者の方々、影響を受けられている皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
新型コロナウイルス感染拡大により、今年3月下旬から、当院においても、地域医療への貢献として重症患者の受け入れをすることとなりました。
院内感染を防ぐ為の「陰圧室化;空気が部屋の外に漏れないようにする」という、一刻も早く実施すべき「部屋の改修工事」があります。既に当院でも取り掛かっておりますが、感染源となり得る部屋は一部屋でも減らす必要があります。
「陰圧室化工事」については、国からの補助については使途が特定されており、当院で考える最低限工事が必要とされる部屋の陰圧室化には、少なくとも3,000万円以上の資金が不足しております。そこで緊急的にクラウドファンディング実施を判断しました。
感染してしまえば、重症化を引き起こしうる基礎疾患を持つ患者さんもいらっしゃいます。また、高度医療を担う当院でしか救えない命もあります。院内感染を防ぎ、救えるはずの命を一人でも多く守るために、大勢の皆様からお力を分けていただきたいです。何卒宜しくお願い申し上げます。

患者さんの安全と医療者の健康を守りながら、高度先端医療・地域救急・新型コロナ感染者の受け入れの維持を可能とする本対策が必要
課題:クラウドファンディング実施の背景
高騰する個人防護具の購入や、重症感染症対応のための工事等の支出が大幅に増加しています。また、感染拡大防止の観点から手術件数を制限していることなどにより、病院の健全な運営に必要な資金も減収しています。一方、感染症対策は患者さんや働く医療者の安全を確保し、命を守る為には必須です。
しかし、国からの補助については使途が特定されており、工事できる範囲は限られます。新型コロナウイルス感染者以外の患者さんも十分な環境で治療し、また、第二波、第三波がきたとしても、今後も継続して長期的に「高度先端医療・救急医療」を支える為には、陰圧室化工事が必要不可欠です。

▲新型コロナウイルス感染症患者さんのCT撮影中の様子
本プロジェクトでは具体的に何を行うか
陰圧室化工事のできる限り迅速な実施が必要です。陰圧室化された療養室内の空気は、外部に漏れない仕組みになっており、感染源の拡散を防ぐ役割を果たします。
例えば、新型コロナウイルス感染症やその疑いのある患者さんの手術なども発生し得るため、院内の一部の部屋だけを陰圧室化して完全に隔離するということは不十分です。重症化しやすい患者さんなどにも配慮し、院内における多くの陰圧室化が必要とされる部屋から優先的に、一刻も早い工事を実施すべきと考えております。

▲腎不全を患った新型コロナウイルス感染症患者さんへの集中治療室での処置中の様子
本プロジェクトにおける工事期間(予定)
2020年4月から2021年9月末頃(優先度を検討の上で順次実施)
※新型コロナウイルス感染症拡大等で工事が一時的に中断・延期される可能性がございます。その場合、ご支援者様に報告の上、工事期間の延長の判断を致します。
※重症患者を受け入れ始めた3月下旬以降、早急に感染症対策が必要な箇所については、順次、陰圧室化工事をすでに進めており、そちらについても支援金を充当させていただきたく存じます。
病院設備・環境の改善のために、優先して陰圧室化を実施する場所
✔︎ 陰圧の手術室の設置
新型コロナウイルス感染症の患者さんが手術を受けることになっても、手術中に室内の空気が手術室の外に漏れださないような設備にします。そのようにすることで、手術部エリアの他の部屋にいる患者さんや医療者を守ることができます。
✔︎ 陰圧の病室の追加
京大病院の各病棟には陰圧室化された病室がありますが、十分な数を準備できているわけではありません。一方で、さまざまな基礎疾患を持つ患者さんが、街中で新型コロナウイルス感染症に罹患する可能性がありますので、重症ケア病棟などに感染症の対応ができる病室を追加で整備することにしました。また、透析室や精神科病棟などにも対策が必要となってきます。
✔︎ 検査室の陰圧化
胸部CT検査や、血管造影検査などの放射線検査、新型コロナウイルス感染症の検査を行う部屋から周囲に空気が流れ出ないようにします。受診の早い段階から陰圧化された部屋を使用することで、確定診断がついていない患者さんの検査を安全に遂行することができます。
本プロジェクトで可能としたいこと
私たちの使命は、「高度先端医療と救急医療を通じた地域医療の両立」です。
当院が受け入れる極めて重症な患者さんや、基礎疾患を有する患者さんについては、酸素投与を行ったり、痰を吸引して除去したりする処置を介したエアロゾル感染(ウイルスが水分と一緒に空気中を漂う形態の感染)の危険性があります。そのため、周囲の患者さんや医療を守るためには、療養環境の空気が周囲へ漏れ出ないような対策(空気感染対策、特に陰圧室化)が必要となります。
上記の設備を整えることで、これから長期的に新型コロナ感染拡大の波が訪れる可能性があると言われている中、患者さんの安全と医療者の健康を守りながら、当院の任される機能として、高度先端・地域救急・新型コロナ感染者の受け入れの維持が可能となります。
ご支援金の使途について
3,000万円が集まれば、国からの補助金対象外である以下に充てさせていただきます。また、3,000万円よりも多く集まった場合には、まだ陰圧室化が必要な部屋があり、そちらに充当させていただく予定です。本来であれば5,000万円以上必要となりますが、第一目標は、必要最低限と考えられる3,000万円と設定いたしました。
✔︎ 第一目標3,000万円のご支援をいただけた場合
:3,000万円で実施できる陰圧室化工事の対象
手術室、集中治療室
療養指導室、検査部検査室、透析室、放射線部検査室等
その他:READYFOR手数料、大学事務手数料
【合計:約3,000万円】
✔︎ 第一目標の3,000万円を超えるご支援をいただけた場合
:追加で陰圧室化工事の対象にできる候補場所
下記候補地以外の場所も含め、その時の感染状況等から、院内において対策が必要な場所を検討しつつ、順次実施していきます。
保護室(精神科神経科)
その他の集中治療室
その他の放射線部検査室
その他:READYFOR手数料、大学事務手数料
【合計:約2,000万円】
————————————————————-
【総計:約5,000万円】
Appendix:陰圧管理(陰圧室)について
陰圧管理とは、内部の空気圧を外部より低く調整して、感染源の周囲への拡散を防ぐ役割を果たします。空気は圧力の高いほうから低いほうに流れるため、陰圧室内の空気は外部に漏れません。感染症などの保菌患者は、室内を陰圧にすることにより隔離し、病原菌を封じ込めて、他へ汚染がひろまるのを防止します。

米国の政府機関である疾病予防管理センターCDC (Centers for Disease Control and Prevention)のガイドラインでは、“病室内空気圧の圧差” は2.5パスカル以上[0.01インチ水位]に維持することが推奨されています。
ご支援を何卒よろしくお願い申し上げます
新型コロナウイルス感染症の第一波では、国内における院内感染により病院の機能を維持できなくなることがありました。このような院内感染が引き起こされる要因としては、ヒト・もの・環境の3つがあるといわれています。いま私たちに必要なのは、医療を守るための病院設備です。
本クラウドファンディングが成功し、陰圧化工事が出来るだけ広範囲で実施できれば、新型コロナウイルス感染者の受入れ体制の整備のみならず、通常の診療、京都大学医学部附属病院にしかできない「高度先端医療・救急医療の実施体制」を、これまでどおり確保することに繋がります。
皆様からのご支援で、病院の環境を改善して院内感染対策に役立てることで、新型コロナウイルス感染症の患者さんと、感染症に罹患していない患者さん、そして医療従事者・関係者を守れる可能性が一層高まります。何卒、本趣旨をご理解の上、ご支援のほど宜しくお願い申し上げます。

京都大学医学部附属病院
病院長 宮本 享


免責事項等
ギフトについてのご留意事項
本プロジェクトのギフトのうち「支援者名等掲載」に関する条件の詳細については、リンク先( https://readyfor.jp/terms_of_service#appendix )の【リターン/ギフトに関するご留意事項】をご確認ください。
寄附金に対する税制上の優遇措置
京都大学へのご寄附に対しましては、法人税法、所得税法による税制上の優遇措置が受けられます。
別途お送りする国立大学法人京都大学発行の「寄附金領収証書」に基づき、所轄税務署に確定申告してください。確定申告の時期は通常、毎年2月16日から3月15日(3月15日が土日の場合は翌日か翌々日)までとなっています。国税庁ホームページより確定申告書を作成される場合の「寄附金控除」の入力方法についてはこちらをご覧ください。
税制上の優遇措置についての詳細は、以下をご覧ください。
寄附金の受領日(領収証書の発行日)、および領収証書の郵送される予定日
寄附金の受領日(領収証書の発行日)は、本クラウドファンディングの募集終了日(2020年9月30日)以降、READYFOR株式会社より国立大学法人京都大学への寄附金着金日(2020年11月10日予定)となります。領収証書を郵送しお手元に届くのは、2021年1月頃を予定しております。
個人の場合(日本国内居住者)
①所得税の控除
所得税法第78条第2項第2号により、その年に支出した寄付金の額(総所得金額等の40%を上限とする)から2,000円を引いた額を、所得税の課税所得から控除することができます。
②住民税の控除
京都大学を寄付金控除の対象法人として条例で指定している都道府県・市区町村にお住いの方は、個人住民税の控除を受けることができます。
・控除額は、寄付金額(総所得金額等の30%を上限とする)から2,000円を差し引いて控除率を乗じた額となります。
・控除率は都道府県・市区町村あわせて最大10%です。
※詳細な控除率は、下記総務省ホームページをご覧ください。
総務省ホームページ(個人住民税の寄付金税制の概要)
・個人住民税控除対象の都道府県:京都府・大阪府・滋賀県・徳島県・山口県市区町村についてはこちらをご覧ください。
③相続税の控除
相続または遺贈により取得された財産を相続税の申告期限までに寄付した場合、その寄附金額には相続税が課税されません。
法人・団体の場合(日本国内居住者)
法人税法第37条第3項第2号により、寄附金の全額を損金算入することができます。

プロフィール
京都大学医学部附属病院は1899年(明治32年)に設立され、2019年に創立120周年を迎えました。「患者中心の開かれた病院として、安全で質の高い医療を提供する」「新しい医療の開発と実践を通して、社会に貢献する」「専門家としての責任と使命を自覚し、人間性豊かな医療人を育成する」の基本理念を元に、安全安心な医療の提供に取り組んでいます。