ミャンマー農村ラストマイル配達ファンド

※ 会員様から事業内容にご質問を頂き、リンクルージョン黒柳氏に回答頂きました。
  併せてご覧ください。(9月18日追記)
https://www.securite.jp/fund/detail/6412?a=3#notice

https://www.youtube.com/embed/_yFTnOhVHIU?enablejsapi=1&origin=https%3A%2F%2Fwww.securite.jp
https://www.youtube.com/embed/nWrQBLbeFO4?enablejsapi=1&origin=https%3A%2F%2Fwww.securite.jp

リンクルージョン株式会社は、途上国に「新たな経済の流れをつくり、低所得や貧困のなかで暮らす人々が排除されることのない世界をつくること」を目的として、ミャンマー連邦共和国において、低所得・貧困層向け小口融資を行うマイクロファイナンス機関向けのシステム提供や業務改善支援、農村の小規模商店向けの食品・日用雑貨等の配達サービスの事業を行っています。

ミャンマーの地方部では物流インフラや流通網が未成熟で、女性店主が大半を占める小規模商店は1時間以上かけて仕入れに行かなければなりません。
リンクル―ジョン株式会社は、この課題の解決のため、配送拠点を整備し、商店が携帯電話での注文で仕入れができる仕組みをつくっています。

本ファンドは、上記の配達サービスを整備し、小規模商店へのラストマイル(顧客までの最後の区間)を届ける事業に活用します。分配原資は同事業より発生した売上で、拠点を増やしサービスの提供可能範囲を広げながら事業を拡大する計画です。

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また、本ファンドでは、SDGsのうち、ゴール5(ジェンダー平等を実現しよう)、ゴール8(働きがいも経済成長も)、ゴール10(人や国の不平等をなくそう)への貢献をモニタリングし、その成果を出資者にご報告します。

なお、リンクルージョンによる、金融を皮切りとした配達サービス事業による新たな流通の創出は、社会性・新規性・事業性の観点から高く評価され、日本経済新聞社主催の「第3回日経ソーシャルビジネスコンテスト」にて大賞を受賞しています。

もくじ

事業の背景ミャンマーについて
ファンド対象事業ラストマイルをつなぐコマース事業
資金使途拠点を増やすためにかかる費用を募集
事業計画各地の農村へ拠点をつくり事業を拡大
応援コメントMJI代表の加藤氏よりメッセージ

ミャンマーについて

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リンクルージョンはミャンマーの農村地域を主な対象とした小規模商店向けの食品・日用雑貨等の配達サービス(コマース)事業や低所得・貧困層向け小口融資(マイクロファイナンス)金融機関向けのシステム提供などを行っています。 本ファンドの事業についてより知っていただくために、ミャンマーの現在や代表の黒柳氏の想いなどを紹介させていただきます。

ミャンマー農村地域のポテンシャル

ミャンマーはアジアの中でもトップの経済成長率をほこり急速に発展が進んでいる国です。
人口は約5,400万人、最も栄えている最大都市・ヤンゴンの人口は約540万人です。

リンクルージョンが主に事業の対象としている地方部にはミャンマーの人口の8割以上が生活しています。

ヤンゴンは人口密度が高く、電化率も88%と近代化が進んでいますが、ヤンゴン以外の地方都市や農村地域ではあまり近代化は進んでいません。
特に、農村地域の電化率は23%と低く、経済の発展に伴い都市部とそれ以外の地域での格差が広がっています。


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▲ヤンゴンの風景
電気製品や街灯が多く、近代化が進んでいることがわかります。

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▲農村地域の風景
街灯は少なく、ヤンゴンとはまったく別の世界が広がっています。

農村地域の可能性

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▲ミャンマーの零細ビジネスでは人脈がとても大切にされています。

ミャンマーは2011年まで鎖国政策をとっていたこともあり、あらゆる産業や経済インフラがまだまだ発展途上にあります。

ミャンマーに進出する海外企業や新興企業は、富裕層・中間層が多くインターネットも普及している最大都市ヤンゴンを中心にビジネスを展開しています。ヤンゴンが急速に発展する一方で地方部には経済成長の恩恵が届いていません。

リンクルージョンは創業以来、マイクロファイナンス機関向けシステム事業でミャンマー全国に展開し、地方部を中心に累計27万人の零細事業者への融資を支援してきました。その過程で零細事業者のビジネス1,000件以上を分析、数百人に直接インタビューしたり、数十万件の融資データを分析する中で、地方経済の構造的課題や発展可能性を見いだしコマース事業の着想を得ます。1年間の事業化調査と半年間のパイロット事業を経て2019年4月に第二の事業としてコマース事業を始めました。

記事紹介:仕事を掛け持ちする女性にみる、貧困地域で暮らす人々のビジネス形態
リンクル―ジョン社メディア「Inclusive World」

多くの女性が事業を営む

ミャンマーの農村地域には共働きの家庭が多く、男性は農業や出稼ぎなど外で働き、女性は自宅で家事や子育てをしながら仕立てや内職など零細ビジネスを営む、といった生活様式が多く見られます。そういった零細ビジネスの中で最も多いのが自宅の軒先を活用した小売店です。(リンクルージョンの支援するマイクロファイナンス利用者の3割近くが零細商店を経営しています。)

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▲農村地域で商店を営む女性

ミャンマーではマイクロファイナンスを活用して小規模・零細企業を起業し、事業を行っているケースはとても多く330万人以上が利用しています。

将来を見据えて起業する方や子どもの将来を考えて教育にお金をかけるために計画的な事業拡大を考えている親も多く存在します。また、女性の起業が多く、リンクルージョンの支援するマイクロファイナンス利用者の98%は女性です。

記事紹介:男女平等ランキング世界114位、共働きミャンマー家庭の家事分担は?~地方の商店主サンダーさんの場合~

ラストマイルをつなぐコマース事業

時間的余裕を創出し可能性を広げる

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農村地域の商店は、片道1時間以上かけて近隣の街やヤンゴンへ出向き、卸売市場や中間問屋などで食品・日用雑貨などの商品を仕入れています。家事や子育てをしながら定期的に買出しに出掛けなければいけない状況は女性商店主にとって大きな負担です。

リンクルージョンが行うコマース事業は、農村地域の商店が街の市場と同程度の価格で購入でき店頭配達を受けられる事業です。経済インフラが未整備であるミャンマーの農村地域には、商店までの物流の最後の区間「ラストマイル」を繋ぐサービスが今までありませんでした。

ミャンマー国内は地域によって電化率の差はありますが、スマートフォン普及率が高く、農村地域でもほぼ100%の方が携帯電話を保有しています。そのため、リンクルージョンは、携帯電話で毎週注文を受け、商店への商品の翌日配達を行っています。

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▲商店を営む女性のもとへ商品をお届け

ミャンマーでは、圧倒的なシェアを誇るシティマートというスーパーマーケットチェーンが近代的な大型スーパーを展開していますが、人口540万人のヤンゴンでも28店舗、地方都市では全国合わせて2店舗のみと、都市部ですら近代的な小売が普及途上にあり、農村地域で個人商店が生活インフラである状況は今後も変わりません。
(先行するアジア新興国でも、スーパーやコンビニなどの近代的小売と、個人商店を中心とした伝統的小売は共存する傾向にあります)

ラストマイルをつなぐコマース事業は、商店経営者にとって仕入れ時間の大幅な短縮や、コスト削減、重量のある商品の仕入れがしやすくなるといった利点があります。
そのため、これまでに仕入れにかけていた時間を活用して、お店の営業時間を延ばしたり、事業を拡大したり、子育てに注力する時間を創出することもできるようになります。

記事紹介:知識こそ自由 ミャンマー貧困層が見いだした教育の本当の意味

コマース事業への想い

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▲代表の黒柳氏

黒柳氏は、現在リンクルージョンで行っている事業への思いを以下のように述べています。

黒柳氏

「私はリンクルージョンを起業する前はマイクロファイナンスの現場にNGOの立場で関わっていました。実際にフィリピンでマイクロファイナンスの現場に関わっていた時に、2つの課題・疑問を感じました。

1つめは、マイクロファイナンス機関のデータ活用についてです。

マイクロファイナンス業務は現地でのフィールドワークが多く、無担保であることもあって顧客とのコミュニケーションと情報収集が不可欠です。そうすると、利用している顧客の情報がたくさん集まってくるのですが、担当者の記憶や紙での管理に頼っていて、マイクロファイナンス機関の支店では書類の山が埃を被っていました。

顧客情報をデジタル化し、商品開発やサービス開発などに生かすことで、よりニーズに合った金融サービスの提供ができるようになると思い、リンクルージョンではマイクロファイナンス機関へのシステム提供を行っています。

2つめは、マイクロファイナンスだけで貧困削減が実現できるのかという疑問です。

もちろん金融サービスは必要不可欠なのですが、色々なリソースが足りていない方に金融サービスだけを提供しても所得の向上に繋がらないケースが多いと感じました。足りていないのは金融だけでなく、情報や商材や教育や市場機会など非金融サービスなのではないか。
金融サービスと併せて、それらの非金融サービスを効率的に低所得者や地方部に届ける仕組みを作れれば、大きな社会的なインパクトを生み出すことができるのではないか。

リンクルージョンを立ち上げ、ミャンマーでマイクロファイナンスの支援を行いながら現場を回り、顧客情報を分析する中で、業種にかかわらず商品や材料の調達に苦労していることがわかりました。

この「ラストマイル」の供給網や流通の非効率な点が改善されることは、生活の改善に直結しますし、地方の村々に点在する零細商店をネットワークできれば、その店頭網を通じて食料品・日用品だけではなく、多様な「非金融サービス」を届けるチャネルを構築できるのではないかと考えて農村地域向けのコマース事業を開始したのです。」

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SDGsへの取り組み

本ファンドでは、以下の3つのSDGsに貢献すべく、取り組んでまいります。
これらの進捗はモニタリングを行い、ファンド会計期間中に、出資者の皆さまへ事業進捗とともにご報告します。

貢献を目指す3つのSDGs

ゴール5:ジェンダー平等を実現しよう
ゴール8:働きがいも経済成長も
ゴール10:人や国の不平等をなくそう

SDGsの実績と目標
貢献するSDGsモニタリング指標実績目標
2020年8月2025年3月
ゴール8:
働きがいも経済成長も
契約商店数54850,000
ゴール10:
人や国の不平等をなくそう
サービス提供村落数12310,000
ゴール5:
ジェンダー平等を実現しよう
契約商店主の女性比率78.7%70%以上

拠点を増やすためにかかる費用を募集

本ファンドの資金使途は以下の通りです。
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各地の農村へ拠点をつくり事業を拡大

本ファンドの事業計画は以下の通りです。
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2019年4月より開始したコマース事業は、ミャンマー農村地域に約100万店が存在すると言われる伝統的な小規模商店を対象としています。2020年8月末時点で契約商店数が548店舗となり、順調に拡大しています。今後、ファンド会計期間の1〜2年目となる2022年~2023年には業務の標準化や体制の整備、IT活用に向けた基盤整備を行い、会計期間4年目の2025年には、現状の約100倍の5万店舗(ミャンマー農村部中小小売店数の約5%)まで契約商店数を増加させる計画となっています。

コマース事業のビジネスモデルは、メーカー等から商品を預かり自社倉庫に保管し、発注を受けたらトラックで配達するもので、メーカー等からの販売手数料と広告収入、商店からの配送料が収益となります。

新たな顧客獲得に際しては、提携しているマイクロファイナンス機関が農村地域で開催する顧客集会にリンクルージョンのスタッフが同行し商店主にサービスの紹介を行ったり、既存の契約商店からの紹介や地域での口コミで契約数を増やして、ファンド会計期間3年目以降は倉庫数や従業員数の増加ペースを上げて事業拡大を行う予定です。

また、自社倉庫については、住居を借り上げて倉庫に改装した上で使用する予定です。ミャンマー農村地域には賃貸用の住居が多数存在することから、その確保に大きな問題が生じる可能性は低いとの想定です。

MJI代表の加藤氏よりメッセージ

ミャンマーのマイクロファイナンス機関「MJI」の代表である加藤氏より応援メッセージをいただきました。
MJIは、親会社である合同会社quaranteを通じて、下記2本のファンドにより資金調達を実施しています。
LIPミャンマーMJI貧困削減ファンド1
LIPミャンマーMJI貧困削減ファンド2


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◾️黒柳さんのお人柄 について

出会って5年以上になりますが、どんどんミッションにむかって進まれるその姿に尊敬と驚きをもって見ており、こうして近くで黒柳さんのような経営者とともに事業できる事を有難く思っています。
お互いミャンマーでの事業展開の駆け出しの頃に出会いました。 アプローチは異なりますが同じくミャンマーのマイクロファイナンスに関わるもの同士、まだ停電も多く暗いミャンマーの夜に数名の志を共にする者で語り合ったのがまるで昨日のようです。
今は、リンクルージョンが提供されるマイクロファイナンス機関向け経営管理システム『JBRAIN』の一ユーザーとしてだけでなく、マイクロファイナンスユーザー向けの情報配信事業『Social Magazine Mango!』の共同経営者でもあります。

「ソーシャルビジネスの世界は業界内のプレイヤー同士が手を取り合って世界をより良い方向へ進めようとしている」と常々思っておりますが、黒柳さんが最初にこの事を思わせてくれた人でした。

一緒に事業を進めている上では、兎に角、何事も理論的で計画に穴がない。それは決して冷酷なイメージではなく、時にスタッフの初めての長距離出張を心配して「僕からじゃ云い辛いから、加藤さんからスタッフに聞いてみてくれないですか?」と、素晴らしく人間臭い優しさを持ち合わせた方です。お取引先や関係者とお話しする場面では、良いことも悪いことも隠さず相手に伝える誠実な方です。
時に相手を気遣ってオブラートに包んで伝えようとされるも、その誠実なお人柄からオブラートの端から本音がちょこっとはみ出してしまう…そんなチャーミングな一面も魅力的で、様々な人が引き寄せられていると思います。
そして、そのお人柄とリンクルージョンの理念に引き寄せられた方々が、現地で素晴らしい事業を生み出されています。 そのひとつが、今回の募集対象であるコマース事業です。

◾️コマース事業 について

マイクロファイナンスの現場に立っていると、ファイナンスだけでは解決できない解決しきれない課題に遭うことがあります。
自己否定のように聞こえてしまうかもしれませんが、100人がお金を借りて100人が上手くいくといいけれど現実はそうもいきません。
弊社内でも小さな商店を営むお客さまは多いですが、利益幅が狭い商品が多数あります。これは交渉力や十分な利幅を設定できない買い手の現状など色々ありますが、更にここに決して安くない仕入れの交通費が乗ってしまいます。また、小さな村の商店ですと一回の仕入れ量は少なく、ひとつの商品にかかる仕入れ費用は高くなってしまい、さらにお客様の手元に残る利益は低くなってしまいます。
お客様もそういう課題に気付かずに過ごしていることも多々あります。
コマース事業はこれらの課題に向き合い、お客様の目に見える「便利」だけでなく、本質的な農村の零細ビジネスの改善に深く入り込む事業です。
このサービスを受けているお客様のお店にお邪魔したところ、目に見えてお店の様子が明るくなっており、新商品を取り入れたことを嬉しそうに語ってくれる姿がありました。今後さらに商品と取引が増え、お客さまがより豊かになっていかれる姿を見られる事が今から楽しみです。
これからも沢山の零細事業者さまがリンクルージョンのコマース事業を通じて、事業が大きくなり、笑顔の輪が広がっていく事を期待しております。

注記:マイクロファイナンス機関MJIとリンクルージョンは当事業において業務提携関係にあり、MJIは借り手の商店主にリンクルージョンのサービスを紹介し、リンクルージョンは契約店の資金ニーズにMJIの融資商品を紹介しています。現在、リンクルージョンの契約商店の約10%がMJIの借り手となっています。      

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